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その夏。
海で溺れてしまったことのある、えみこ。
学校のプールで、水に入れなくなってしまいます。
お母さんと一緒に先生に呼ばれます。
「この時季のお子さんによくある現象、恐怖心・・
多少本人がいやがっても、今それを克服しないと、いつまでたっても、、」
という言葉。
帰り道、
お母さんの日傘に入って帰る、えみこの目から思わず涙がぽろりと出ます。
それは、先生にしかられたことでもなく、
何気なく、さらっと、お母さんが言ってくれた言葉でした。
「 女の子だもの、無理して泳げなくったっていいわねぇ」
「玄関」 高野文子
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「びんの中の夏」
1975年
谷内六郎(たにうち・ろくろう)
1921年、東京生まれ。81年、逝去。
谷内さんの絵の本質は
郷愁とかメルヘンといったものを突き抜け、
その向こうに、日本人の原風景を描き出すところにある。
『谷内六郎文庫』(天野祐吉)

昔はみんなと同じ様に、
家にもそれなりに数があったマンガ本。
年齢が高くなるにつれて、なんとなく読むのも買うのも照れくさく。
どんなに完璧な小説よりもストレートに心にどかんと入り込んで来て、
強く頑張れる気持ちを起させてくれるものがマンガ本には多い。
なんとなくつらくなった時にひっぱり出して読み返す、ぼろぼろのマンガ。
でもやっぱり全然スタイリッシュじゃないので恥ずかしくて、自分がどんより行き詰まった時のためにだけ
本棚の隅っこに秘かに(でも大事に)保管してあります。
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野球界のヒーロー、茂雄(もちろん長嶋)を尊敬している花男(はなお)。
妻も子もいるけれど、野球センスはバツグンだけど、
しかし背番号「3」にこだわり続けて入団の誘いを断りつづける花男。
息子にバカにされつつも、ボロいアパートの庭でヒーローインタビューの練習だけはかかさない。
「 花男」 松本大洋
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松本大洋マニアが沢山いるようですが、知らない人はまったく知らない作家かもしれません。
「花男」「ピンポン」「鉄コン筋クリート」など。
一見、絵柄から感じる無機質さ、でも人間の心はしっかり詰まっています。 友情いっぱい。
構図や白黒のバランスがピリリと完璧なので、ストーリーが既にわかっていても飽きずに見れます。
マニアックなファンがいる、大洋ワールドはこちら
http://www.shogakukan.co.jp/taiyo/


ニッポンには独特のリリカルでひょうひょうとした世界が存在していて
そこには実は深い深い個人的思想やイデオロギーさえも感じたりすることがあったりして。
そういうものが生活背景の全く違う世界の国々のどこまで通用するのかわからないけど、
ポケモンよりも、キティちゃんよりも、わかりにくいと思うけれど、
ひろまってくれたらなんとなくウレシイ。
週刊新潮の表紙をずっと描いてきた谷内六郎。
ニッポンの良いところをギュギュッと凝縮した、記憶を呼び戻す絵柄。
フウリン、ハナビ、ソメイヨシノ、ユウヤケ、ミズデッポウ。
ときどきシュールレアリズムの洋画家、デ・キリコのような、どこか非現実に感じる空虚と
不思議な空気も描きだしていました。
「動く」谷内六郎の絵が見れたのは、NHKの「みんなのうた」。
そのバックでは、NOKKOの「フルサト」という歌が流れていました。
天野祐吉さんが編集した「フルサト」本も発売されています。
http://www.kokokuhihyo.com/books/introduction/furusato.html
谷内六郎ワールドに一部通じるマンガ本?
右の本 <<「絶対安全剃刀」高野文子
表紙の女の子2人は、この文庫本に
収録されている「玄関」の登場人物。
左の本 <<「GOGO モンスター」松本大洋
マンガでは珍しく、2年かかった書き下ろしの
文庫本。 驚きの2500円。
発売前から本屋さんにポスターがたくさん
貼られていました。