東京・浅草は、特別 な思いを寄せる町です。
住んでいた街から続く電車の終着が浅草駅だったこと。
祖母、母、ともになぜか浅草が好きだったこと。

そのせいか祖母は、足だけは丈夫なのに物忘れのひどくなってしまった頃にも、
無意識に浅草に行ってしまっていて、保護されたりしていました。
夜中にタクシーで警察まで迎えに行ったり、パトカーで家まで送って来てくれたり。
おばあちやん、どうして?? 。でも別にとりたてて何があるというわけでも全く無いのです。

昔は、浅草1丁目1番地のレトロな神谷バーの前なんかで、戦争で足が無くなってしまったおじさんが、
道端に座ってアコーディオンやらの楽器を演奏したりしていました。
その後、私が大人になってからは通勤の乗り換えの為に利用したり、毎年花火大会に出かけたり
新しい浅草もたくさん知っているのですが、
今でも私はアコーディオンのおじさんの印象が強くて、町を歩くと昔の情景がふわぁっと現れます。



浅草の思いで 其の弌


商店街には古ぼけた食堂が多い。その中でもわりと綺麗な感じの食堂に入った時の事。
私のテーブルの隣、隅っこの4人テーブルに小学生くらいの男の子が1人ぼっちで座っていた。
たぶん丼ぶりを注文していたと思う。

どうして1人なのかな、事情があって両親が家でご飯を用意出来ないのかな、
いつも1人で外で夜ご飯を食べているのかな、1人で食べるのって淋しいだろうな、と
ぐるぐると考えが巡る。


そしてその子はご飯が待ちきれなかったのか、隣のいすに置いていたマクドナルドの紙袋から
ごそごそとハンバーガーを出して、静かに食べ始めた。
食堂のおかみさんがそれを察知して、寄って来て「この店の中でそれ食べたらだめだよっ」と
冷たく言って、またすぐあっちへ去ってしまった。
男の子は気まずい雰囲気に小さくなって、すぐに紙袋にハンバーガーを戻してしまった。

おかみさん、なんか言い方がひどいよ。
この子はこれからご飯を食べるんだよ、しかも1人で。
そんな事言ったら、楽しく食べられないじゃないか。

うじうじと考えている私のほうが、食べ物がのどに入らない。
その時、何を食べたのかすら忘れてしまったけど、今でもその店の前を通ると重い気持ちになる。


あの時、私がすべきことは ?
おかみさんに「べつにいいじゃないですかぁ」と言うのでは子供もさらに気まずくなるだろうし。
その子に何かひと事、気のきいた言葉をかけてあげるべきだったんだろうけども。
でも、どういう言葉だ
?

こういう時にさらっと対処できる人になれれば・・と思い続けて10年以上。
未だにそんなカッコよく気が利く人間には成長出来てない私でした。がっかり・・。
SOLEIL du MALOC Journal //sortir : photo  

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Asakusa  14. MAY. 2005 ---------------------------------------------
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レース編みの巾着、
40年近く前に母の友人が作った物。
大切にとってあります、
銀びきの大きいビーズを縫い込んであるので
グレーにキラキラ光って可愛らしい。

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印伝のサイフ。
印度伝来を略してこう呼ばれる様になりました。
400年以上の伝統ある鹿革工芸品です。
鹿のなめし革を染色し、その上に漆で模様付けしたあと
数日間陰室(むろ)に入れて乾燥させる。
強く柔らかく軽い鹿革と、時とともに色が冴える本漆。

実は、内側にモノグラムの様に屋号が描いてあるのがかわいい。

印傅屋・十三代 上原勇七
tel 03. 479. 3200
母親にチクチク縫ってもらった紫色の浴衣
めずらしく衝動買いした
紫がかった渋いグレーの下駄

朱色の小物を合わせて、
なんとなく狂気の雰囲気が
下町の ASAKUSA に似合うかもしれない


いつも着たいと思いながらも
らくちんな服装で花火に行き
10年位、一度も着ないまま、
それでも大切な浴衣
浅草の思いで 其の弐

浅草の路地の飲み屋さんは、長屋、カウンターのみ、カウンターとテーブルが少し、という
佇まいばかり。そしてどこにでも「もつとホッピー」の旗。

どでかいニッポン男児2人と一緒なので、安ければなんでもいいという事で適当に店に入った。
カウンターには常連のようなグレーの地味なスーツのおじさんが1人で静かに飲んでたりする。
人はほとんど居なくて店構えも貧相だけど、ゆっくり出来そう。
もつとホッピー。「もつ」は内臓だとわかるけど、「ホッピー」って何? と、謎に思っている。
ホップを使ったノンアルコール・ビール。ホップ・ビール、ホッビーが、いいづらくなり「ホッピー」。
低カロリー、低等質、プリン体 ゼロ。
焼酎で割ってくれる。


おばちゃんにホッピーを頼む。ビールジョッキくらいのグラスに注がれてきたのを
「まあまあおいしいなぁ」と言いながら飲む。
でも次はもういいや、と皆が思う。
店のメニューも酎ハイとビールしかないから、じゃあ次は「ビールください」。
すると、おばちゃんが「これでいいっ?」と聞くので、
「" これでいいっ? " って、何の事について?」と質問しようとすると、
私たちが口を開く前に、目の前のホッピーに使用したジョッキにビールを注ぎ始めた。
「えっっ」と思った時にはもう全然遅い。

「" これでいいっ? "って、 このグラスに入れちゃっていい?って事か・・・」
「まあな、、純粋なビールが飲みたかったけどな、、確かにホッピーもビールみたいなもんだしな、、」
「おばちゃん、返事がどうだろうと、もう注いじゃってるしな、、」
なんとか気持ちをもり立てるように、それぞれ明るくしようとするが、
でもやっぱり悲しさは隠せない。
しかし、これは浅草スタイルなのか、おばちゃんの店スタイルなのか、、合わせなければならない。

そこへ再び、「これでいいっ?」というおばちゃんの声。
「 ! ! 」と皆で振り向くと、その声はカウンターのおじさんのジョッキに向けられていた。
もちろん、おじさんの返事なんか聞いちゃいない。


あまりにもこの店と、おばちゃんが印象に残りすぎて、
何でこの日に、しかも男友達2人とともに浅草に行ったのかしばらく思い出せなかった。
それは本当に美しい隅田川の花火大会の日だったのだ。

寝っころがって間近で見る花火。
「うわぁ、目の中に入りきらね〜」
「なんか涙出そう」
どでかい男2人がせつない事を言う。
その美しすぎる、涙モノの大事な大事な1日の締めくくりの「ホッピー」だったのだ。

アクセサリーのデザインの会社にいた頃
何か新しい素材を・・と、
逆に忘れ去られていた「あせち」を試みた

あせち。アセチレン。セルロイドと同じような樹脂の一種。

柔らかくて弾力があるので、
花びらを、きゅっと曲げて、立体感を出せる

花びらの表は微妙にオーロラの柄が入った生地を使用、
裏は無地

花びらの色もグラデーションを出してもらう

あせちを加工出来る職人さんは、今はもうほとんど居ない